2010年11月26日金曜日

古典を読もう - 論語(為政第二)

古典を読もう - 論語(為政第二)

論語(2)は、「為政第二」です。



爲政第二

原 文

子曰。爲政以德。譬如北辰居其所而衆星共之。

子曰。詩三百。一言以蔽之。曰思無邪。

子曰。道之以政。齊之以刑。民免而無恥。道之以德。齊之以禮。有恥且格。

子曰。吾十有五而志于學。三十而立。四十而不惑。五十而知天命。六十而耳順。七十而從心所欲不踰矩。

孟懿子問孝。子曰。無違。樊遲御。子告之曰。孟孫問孝於我。我對曰。無違。樊遲曰。何謂也。子曰。生事之以禮。死葬之以禮。祭之以禮。

孟武伯問孝。子曰。父母唯其疾之憂。

子游問孝。子曰。今之孝者。是謂能養。至於犬馬。皆能有養。不敬何以別乎。

子夏問孝。子曰。色難。有事弟子服其勞。有酒食。先生饌。曾是以爲孝乎。

子曰。吾與囘言終日。不違如愚。退而省其私。亦足以發。囘也不愚。

子曰。視其所以。觀其所由。察其所安。人焉廋哉。人焉廋哉。

子曰。温故而知新。可以爲師矣。

子曰。君子不器。

子貢問君子。子曰。先行其言。而後從之。

子曰。君子周而不比。小人比而不周。

子曰。學而不思則罔。思而不學則殆。

子曰。攻乎異端。斯害也已。

子曰。由。誨女知之乎。知之爲知之。不知爲不知。是知也。

子張學干祿。子曰。多聞闕疑。愼言其餘則寡尤。多見闕殆。愼行其餘則寡悔。言寡尤。行寡悔。祿在其中矣。

哀公問曰。何爲則民服。孔子對曰。擧直錯諸枉。則民服。擧枉錯諸直。則民不服。

季康子問。使民敬忠以勸。如之何。子曰。臨之以莊則敬。孝慈則忠。擧善而教不能則勸。

或謂孔子曰。子奚不爲政。子曰。書云孝乎。惟孝友于兄弟。施於有政。是亦爲政。奚其爲爲政。

子曰。人而無信。不知其可也。大車無輗。小車無軏。其何以行之哉。

子張問。十世可知也。子曰。殷因於夏禮。所損益可知也。周因於殷禮。所損益可知也。其或繼周者。雖百世可知也。

子曰。非其鬼而祭之諂也。見義不爲。無勇也。

論語巻之一 終

読 み

為政第二(いせい)

(し)(いわ)く。政(まつりごと)を為(な)すに徳(とく)を以(もつ)てすれば、譬(たと)えば北辰(ほくしん)の其(そ)の所(ところ)に居(い)て衆星(しゅうせい)の之(これ)に共(むか)うが如(ごと)し。

(し)(いわ)く。詩三百(しさんびゃく)、一言(いちげん)(もつ)て之(これ)を蔽(おお)えば、曰(いわ)く、思(おも)い邪(よこしま)(な)し。

(し)(いわ)く。之(これ)を道(みちび)くに政(せい)を以(もつ)てし、之(これ)を斉(ひと)しくするに刑(けい)を以(もつ)てすれば、民(たみ)(まぬが)れて恥(はじ)(な)し。之(これ)を道(みちび)くに徳(とく)を以(もつ)てし、之(これ)を斉(ひと)しくするに礼(れい)を以(もつ)てすれば、恥(はじ)(か)つ格(いた)る有(あ)り。

(し)(いわ)く。吾(われ)十有五(じゅうゆうご)にして学(がく)に志(こころざ)し、三十(さんじゅう)にして立(た)つ。四十(しじゅう)にして惑(まど)わず。五十(ごじゅう)にして天命(てんめい)を知(し)る。六十(ろくじゅう)にして耳(みみ)(したが)う。七十(しちじゅう)にして心(こころ)の欲(ほつ)する所(ところ)に従(したが)うとも矩(のり)を踰(こ)えず。

孟懿子(もういし)(こう)を問(と)う。子(し)(いわ)く。違(たが)う無(な)し。樊遅(はんち)(ぎょ)たり。子(し)(これ)に告(つ)げて曰(いわ)く。孟孫(もうそん)(こう)を我(われ)に問(と)う。我(われ)(こた)えて曰(いわ)く。違(たが)う無(な)し。樊遅(はんち)(いわ)く。何(なん)の謂(いい)ぞや。子(し)(いわ)く。生(せい)には之(これ)に事(つか)うるに礼(れい)を以(もつ)てし、死(し)も之(これ)を葬(ほうむ)るに礼(れい)を以(もつ)てし、之(これ)を祭(まつ)るに礼(れい)を以(もつ)てす。

孟武伯(もうぶはく)(こう)を問(と)う。子(し)(いわ)く。父母(ふぼ)には唯(た)だ其(そ)の疾(やまい)を之(こ)れ憂(うれ)う。

子游(しゆう)(こう)を問(と)う。子(し)(いわ)く。今(いま)の孝(こう)は、是(こ)れ能(よ)く養(やしな)うを謂(い)う。犬馬(けんば)に至(いた)るまで皆(みな)(よ)く養(やしな)うこと有(あ)り。敬(けい)せずんば何(なに)を以(もつ)て別(わか)たんや。

子夏(しか)(こう)を問(と)う。子(し)(いわ)く。色(いろ)(かた)し。事(こと)(あ)らば弟子(ていし)(そ)の労(ろう)に服(ふく)し、酒食(しゅし)(あ)らば先生(せんせい)(せん)す。曾(かつ)て是(これ)を以(もつ)て孝(こう)と為(な)さんや。

(し)(いわ)く。吾(われ)(かい)と言(い)うこと終日(しゅうじつ)なるも、違(たが)わざること愚(おろ)かなるが如(ごと)し。退(しりぞ)きて其(そ)の私(わたし)を省(かえり)みれば、亦(また)(もつ)て発(はつ)するに足(た)れり。回(かい)や愚(ぐ)ならず。

(し)(いわ)く。其(そ)の以(もつ)てする所(ところ)を視(み)、其(そ)の由(よ)る所(ところ)を観(み)、其(そ)の安(やす)んずる所(ところ)を察(さつ)すれば、人(ひと)(いづく)んぞ廋(かく)さんや。人(ひと)(いづく)んぞ廋(かく)さんや。

(し)(いわ)く。故(ふる)きを温(たず)ねて新(あたら)しきを知(し)る。以(もつ)て師(し)と為(な)す可(べ)し。

(し)(いわ)く。君子(くんし)は器(き)ならず。

子貢(しこう)君子(くんし)を問(と)う。子(し)(いわ)く。先(ま)づ其(そ)の言(げん)を行(おこな)いて而(しか)る後(のち)(これ)に従(したが)う。

(し)(いわ)く。君子(くんし)は周(あまね)くして比(かたよ)らず。小人(しょうじん)は比(かたよ)りて周(あまね)からず。

(し)(いわ)く。学(まな)びて思(おも)わざれば則(すなわ)ち罔(くら)し。思(おも)いて学(まな)ばざれば則(すなわ)ち殆(あや)うし。

(し)(いわ)く。異端(いたん)を攻(おさ)むるは、斯(こ)れ害(がい)なるのみ。

(し)(いわ)く。由(ゆう)、女(なんじ)に之(これ)を知(し)るを誨(おし)えんか。之(これ)を知(し)るを之(これ)を知(し)ると為(な)し、知(し)らざるを知(し)らざると為(な)す。是(こ)れ知(し)るなり。

子張(しちょう)(ろく)を干(もと)めんことを学(まな)ぶ。子(し)(いわ)く。多(おお)く聞(き)きて疑(うたが)わしきを闕(か)き、慎(つつし)みて其(そ)の余(よ)を言(い)えば、則(すなわ)ち尤(とが)め寡(すくな)し。多(おお)く見(み)て殆(あや)うきを闕(か)き、慎(つつし)みて其(そ)の余(よ)を行(おこな)えば、則(すなわ)ち悔(くい)(すくな)し。言(げん)(とが)め寡(すくな)く、行(おこな)い悔(くい)(すくな)ければ、禄(ろく)(そ)の中(うち)に在(あ)り。

哀公(あいこう)(と)うて曰(いわ)く。何(なに)を為(な)さば則(すなわ)ち民(たみ)(ふく)せん。孔子(こうし)(こた)えて曰(いわ)く。直(なお)きを挙(あ)げて諸(こ)れを枉(まが)れるに錯(お)かば、則(すなわ)ち民(たみ)(ふく)せん。枉(まが)れるを挙(あ)げて諸(こ)れを直(なお)きを錯(お)けば、則(すなわ)ち民(たみ)(ふく)せず。

季康子(きこうし)(と)う。民(たみ)をして敬忠(けいちゅう)にして以(もつ)て勧(すす)ましめば、之(これ)を如何(いか)にすべきか。子(し)(いわ)く。之(これ)に臨(のぞ)むに荘(そう)を以(もつ)てすれば則(すなわ)ち敬(けい)。孝慈(こうじ)なれば則(すなわ)ち忠(ちゅう)。善(ぜん)を挙(あ)げて不能(ふのう)を教(おし)うなれば則(すなわ)ち勧(すす)まん。

(ある)ひと孔子(こうし)に謂(い)いて曰(いわ)く。子(し)(なん)ぞ政(まつりごと)を為(な)さざる。子(し)(いわ)く。書(しょ)に云(い)う孝(こう)なるか。惟(こ)れ孝(こう)に兄弟(けいてい)に友(ゆう)に、政(まつりごと)(あ)るに施(ほどこ)す。是(こ)れも亦(また)(まつりごと)を為(な)すなり。奚(なん)ぞ其(そ)れ政(まつりごと)を為(な)すを為(な)さん。

(し)(いわ)く。人(ひと)にして信(しん)(な)くば、其(そ)の可(か)なることを知(し)らざるなり。大車(たいしゃ)(げい)(な)く、小車(しょうしゃ)(げつ)(な)く、其(そ)れ何(なに)を以(もつ)て之(これ)を行(ys)らんや。

子張(しちょう)(と)う。十世(じつせい)(し)る可(べ)きか。子(し)(いわ)く。殷(いん)は夏(か)の礼(れい)に因(よ)り、損益(そんえき)する所(ところ)(し)る可(べ)きなり。周(しゅう)は殷(いん)の礼(れい)に因(よ)り、損益(そんえき)する所(ところ)(し)る可(べ)きなり。其(そ)れ或(あるい)は周(しゅう)に継(つ)ぐ者(もの)は、百世(ひゃくせい)と雖(いえ)ども知(し)(べ)可きなり。

(し)(いわ)く。其(そ)の鬼(き)に非(あら)ずして之(これ)を祭(まつ)るは諂(へつら)うなり。義(ぎ)を見(み)て為(な)さざるは勇(ゆう)(な)きなり。

論語(ろんご)、巻(かん)の一(いち)(お)わり。

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