2010年10月18日月曜日

LaTeX2e 入門教室 - 2.5 少し長い文書の実例

2.5 少し長い文書の実例

ここでは,少し長めの例文を使った文書作成を通じて,LaTeX2e の文書作成に関するその他のルールを学習したいと思います。

2.5.1 作成に使う少し長めの例文
ここでは,前節までの文書の一部を使った長めの文書を例文として取り上げたいと思います。

LaTeX2e 入門教室
1. 導 入
1.1 LaTeX2e とは何ですか?
『LaTeX2e』とは,レスリー・ランポート(Leslie Lamport)によって開発されたテキストベースの組版処理システムです。

1.2 LaTeX2e で何ができるのですか?
簡単に言えば,テキストエディタなどで作成した文書を最終的にはPDF形式に変換することができるソフトウェアです(正確には,変換には別のソフトウェアを使用しますが,一般的な最終出力はPDF形式のものが多数です)。

1.3 LaTeX2e のインストール
「LaTeX2e で何ができるのか?」,実際の所は,理解しがたい部分でしょう。そこで,まずはソフトウェアをインストールして,実際に使いながら学習する,ということになります。

1.3.1 インストールパッケージのダウンロード
インストールに関する詳細な情報は,「LaTeX2e 美文書作成入門」の著者である奥村先生のサイトにあります。ここでは,その情報をもとにして,HITP 用にアレンジしたパッケージを使用します。

1.3.2 インストールパッケージの解凍とディレクトリ配置
  1. ダウンロードした「pTeX.zip」をLhacaなどのツールを使って解凍します。
  2. 解凍されたフォルダの中に,「HITPtemp」と「pTeX」2つのフォルダがあることを確認してください。
  3. 「HITPtemp」と「pTeX」2つのフォルダを「C:\」直下に配置します。必ず,この位置に配置してください。それ以外の場所に配置するとインストールに失敗することがあります。

1.3.3 pTeX のインストール
LaTeX2e を使って文書作成を行うようにしたい訳ですが,実際には,LaTeX2e 以外にもいくつかのソフトウェアをインストールしなければなりません。まずは,LaTeX2e 本体(角藤版と呼ばれているものの標準インストールにOTFパッケージ,UTFパッケージ,内部Unicode版pTeXを付加したものになっています。)のインストールを以下の手順に従って行います。

1.3.4 Ghostscript のインストール
「pTeX」のインストールが終了したならば,次にPostScript のインタープリタであるGhostscriptのインストールを行います。

1.3.5 dviout for Windows のインストール
Windows環境で動作するTeX プレビューアをインストールします。

1.3.6 GSviewのインストール
最後にPostscriptをPDF変換するためのGSviewをインストールします。

1.3.7 フォントの設定
ここまでの手順で必要なソフトウェアのインストールは終了しました。しかし,このままではWindowsの和文フォントを利用することができません。そこで,フォントの設定ファイルを修正します。修正には,メモ帳などのエディタを使用します。

1.3.8 動作確認
最後に動作確認を行います。もし,うまくいかなければ,パスの設定や各種設定ファイルに誤りがないかどうか確認してください。あるいは,インストールしたプログラムをすべて削除して,もう一度インストールを試みてください。

2. 文書作成の概要
インストールが終了した所で,実際の文書作成を通じて,LaTeX2e における作業の概要を見てみよう。

2.1 タイプセット
まずは,適当なフォルダを作成して,そこにテスト用のファイルを作成してみよう。ここでは,「C:\work」というフォルダを作成し,そこに「test.tex」というファイルをメモ帳で作成します。

  1. コマンドプロンプトを起動します。
  2. カレントディレクトリを「C:\work」に変更します。
  3. コマンドラインから以下のコマンドを入力します。
  4. コンパイルが開始され,エラーがなければ,最後に以下のようなメッセージが表示されます。

以上で,変換が終了しました。この結果,「C:\work」フォルダには,以下のようなファイルが作成されます。

  • test.tex
  • test.aux
  • test.dvi
  • test.log

2.2 コマンド
最初に作成したtest.texというファイルの中で,記号「\」で始まる部分のことを「コマンド」と呼びます。LaTeX2e では,このコマンドによっていろいろな数学記号を表現したり,文書の整形をしたりします。

2.3 LaTeX2e 文書の書き方
2.3.1 文書クラス
LaTeX2e 文書の先頭は「documentclassコマンド」から始まります。documentclassコマンドでは,使用する「文書クラス」を指定します。

文書クラスは,文書の種類に応じた書式(クラス)の定義です。基本となる文書クラスには,以下のようなものがあります。
article
章を含まないような,記事とか論文などの短い文書用
report
章を含むような,報告書などの比較的長い文書用
book
両面印刷を前提とした書籍などの文書用

2.3.2 document環境
\begin{document}\end{document}で囲まれた部分を「document環境」と呼び,ここに記述された部分を本文として認識します。

2.3.3 プリアンブル
documentclassコマンドと\begin{document}の間の部分を「プリアンブル」と呼びます。プリアンブルでは,文書クラスで定義されている機能の変更や調整をしたり,ユーザー独自のコマンド定義したりする場合に,この部分にコマンドを記述します。なお,最初に作成したtest.texでは,何も記述していませんが,特に必要がなければ何も記述しないこともできます。

2.3.4 コマンド記述上の注意点
修正したtest.texでは,本文中(document環境内)に「maketitleコマンド」と「LaTeXコマンド」の2つを使用しています。

2.4 簡単な文書作成の実例
2.4.1 作成に使う例文
ここでは,以下の例文を使った簡単な文書作成を通じて,LaTeX2e の文書作成に関するいくつかのルールを学習したいと思います。

2.4.2 LaTeX2e 文書の枠組みの作成
最初に,LaTeX2e 文書の枠組みとして,タイトル,著者名,document環境を作成します。ここでは,文書クラスとして「jarticle」を使用するものとします。

2.4.3 本文の作成
次に本文を document 環境に記述していきます。まずは,最初の段落を入力します。入力するときの注意としては,段落の途中で改行せずに入力することです。エディタの種類によっては,入力しにくくなるかもしれませんが,TeXworks では,長い1行を折り返して表示するので,問題なく入力できると思います。

2.4.4 空白の取り扱いと改行・改ページ
例として,以下のような本文について考えてみます。

2.4.5 文書クラスのオプション
これまでのサンプルでは,文書クラスのみを指定していましたが,文書クラスには,スタイルを詳細に決めるクラスオプションを指定することができます。クラスオプション指定の書式は次のようになります。

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